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リヒャルト・ワーグナー
(1813-1883 ドイツ)


ロマン派オペラの頂点に立つ作曲家。多くのオペラの台本を自分で書き、音楽界だけでなく当時のヨーロッパに広く影響(えいきょう)をおよぼした文化人。


オペラが歌中心であったのに対し、ワーグナーは楽劇(がくげき)という音楽と演劇を合わせたものを作り出しました。音楽のドラマです。

音楽好きな家庭に生まれ幼い時から音楽に親しみ、兄弟の多くも音楽の道に進みました。

ベートーヴェンにあこがれ、15歳の時に音楽家になりたいと思うようになりました。

18歳でライプツィヒ大学で哲学(てつがく)と音楽を学び始めましたが、数年後に退学。

作曲を教会音楽家に習い、21歳で早くも音楽監督(かんとく)としてデビューし、オペラも完成させました。

音楽監督として劇場でイタリアオペラやモーツァルトのオペラを多数指揮し、オペラの勉強を深めました。

ドレスデンの音楽監督をしていた時の1849年に、ドレスデン蜂起(ほうき:暴動のこと)が起きました。

身分の差をなくし、全ての成人と女性に参政権を与え、一人の支配者がおさめる国家はなくすべきとういう考えによる革命で、ワーグナーは戦闘(せんとう)に参加はしていませんでしたが、そのメンバーであったので逮捕状(たいほじょう)が出されました。

暴動は失敗に終わり指名手配され、リストの助けでスイスに亡命しました。

スイスにいる間、指揮者としての活動をしてはいましたがお金には困っていました。しかしその間に、「ニーベルングの指輪」という大きなオペラの台本を完成させました。

「ニーベルングの指輪」は4つのオペラからなる長大な作品で、26年かけて作曲され、上演に4日間かかるオペラです。

ドイツにいた頃に作曲した「ローエングリン」というオペラがリストの手でドイツで上演され成功をおさめました。亡命中のワーグナーはそのオペラを観ることは出来ず、実際に聴くことが出来たのは11年後のウィーンででした。

ドイツからの追放が取り消され、バイエルン国王ルートヴィヒ2世から巨額の資金援助を受けるようになりました。

これにより多くの楽劇の完成と、それを上演するための劇場を作ることが出来ました。

結婚していたにもかかわらず、こちらも結婚していたリストの娘コジマとの間に子どもが3人生まれました。ワーグナーの妻が病死し、コジマが夫(ピアニスト・指揮者のビューロー。リストやワーグナーからその音楽的才能を認められていた)との離婚が成立し、ワーグナーと結婚。

1883年にイタリアのヴェネツィア旅行中に心臓発作を起こし亡くなりました。
コジマは一日中ワーグナーが横たわったベットから身動き一つせず、離れることがなかったと言います。

ワーグナーの死はヨーロッパ中にショックを与え、バイエルン国王ルートヴィヒ2世は「おそろしいことだ」とふるえ、合唱の練習で指揮をしていたブラームスは合唱の練習を打ち切り、オペラ作曲家ヴェルディは、あまりの驚きに立ちすくみ、しばらくものも言えなかったそうです。


 
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​1813年5月22日生まれ

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ルートヴィヒ2世によって建てられたノイシュヴァンシュタイン城

楽劇 ワルキューレ より 「ワルキューレの騎行」
指揮:ジェームズ・レヴァイン
​メトロポリタンオペラハウス

ワルキューレは「二ーベルングの指輪」4部作の2作目。4部作の中で最も人気が高く、ワーグナーの作品の中でも最もすぐれたもののひとつ。上演時間は3時間40分。
「二ーベルングの指輪」は「ロード・オブ・ザ・リング」と同じように世界を支配できる指輪の神話を元にしたワーグナーオリジナルの台本です。

ワルキューレとは、戦場で亡くなった戦士たちに神々の住む城の警備をさせるため、その戦士たちを天をかける馬にのせて走る9人の姉妹のこと。ワルキューレの騎行はその姉妹たちのテーマ曲。死神の曲です。長女の名前はブリュンヒルデといって、崖の上のポニョの本名と同じです。

​オペラ ローエングリン より「結婚行進曲」

楽劇を作り始める前に書かれた最後のロマンティック・オペラ。台本はワーグナー。
ある国の王にエルザとゴットフリートという子供がいました。王はゴットフリートを王にし、エルザはフリードリヒと結婚するように言い亡くなりました。そこに王の座をねらう悪い魔法使いがあらわれ、ゴットフリートを白鳥にかえて姿を消させてしまいます。魔法使いはエルザが弟のゴットフリートをころしたとうそをつき、フリードリヒは魔法使いと結婚してしまいます。エルザは裁判にかけられますが白鳥の騎士が救います。それがローエングリン。「結婚行進曲」はエルザとローエングリンの結婚式の時に歌われます。しかし、白鳥の騎士がだれなのか聞いてはいけない約束をエルザはやぶってしまいます。ローエングリンは去り、代わりに白鳥にされていた弟がもどってきます。ローエングリンが去った悲しみで弟のうでの中でエルザが息たえるところでオペラは幕を閉じます。
この結婚行進曲のあとに待っているのは悲劇です。

オペラ ローエングリン より「第3幕への前奏曲」
指揮・マリス・ヤンソンス
​ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

​楽劇 ニュルンベルクのマイスタージンガー より
「第1幕への前奏曲」
指揮:クラウス・テンシュテット
​ロンドンフィルハーモニ―管弦楽団

​この曲のあとにエルザとローエングリンの別れとなる「結婚行進曲」がきます。
​ワルキューレの騎行と共に単独で演奏されることの多い曲です。

ワーグナーの楽劇の中でたったひとつの喜劇。完成までに20年かかりました。この間に「ニーベルングの指輪」4部作も書き始めていました。バイエルン国王が「指輪」の方の完成を先に求めたので、「マイスタージンガー」はしばらく中断してしまいました。完成した「マイスタージンガー」の初演の指揮はビューローでした。(この2年後にリストのむすめコジマはビューローと離婚。初演の頃にはすでにコジマとワーグナーの間に子供がいました)

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