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​ピョートル・チャイコフスキー
 (1840-1893 ロシア)


3大バレエ音楽(白鳥の湖、くるみ割り人形、
眠れる森の美女)の作曲で知られる後期ロマン派(1850-)の作曲家。

チャイコフスキーが生きていた頃の日本は、
江戸時代(1603-1868。1853年ペリー来航)~明治時代(1868-1911)。

チャイコフスキーは、趣味(しゅみ)として音楽をたしなんでいました。両親もフルート、ピアノ、歌を趣味としていました。

5歳からピアノを習い始めましたが、両親は音楽家の道に進ませる気持ちはなく、本人も10歳の時から法律学校に入り、卒業後は、法務省(ほうむしょう)で仕事をしていました。

法律の勉強をしながら、実は音楽の勉強も続けていたチャイコフスキーは、21歳の時に作曲や編曲の勉強を本格的に始め、23歳の時に一大決心をして仕事をやめ、チャイコフスキーの作曲の先生が作った新しくできたサンクトペテルブルク音楽院に入学しました。

音楽家にはめずらしく、音楽家としてのスタートがたいへんおそい作曲家です。

卒業後はサンクトペテルブルク音楽院を作った先生の弟が新しく作った、モスクワ音楽院の先生になりました。

この2つの音楽院は、現在でも世界トップクラスの音楽院です。
現代の正式名は、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院、リムスキー=コルサコフ記念サンクトペテルブルク国立音楽院です。


チャイコフスキーはロシア五人組とも知り合い、特にバラキレフにアドヴァイスをもらい作曲した曲や、リムスキー=コルサコフの作品の批評で彼を救ったりしています。

チャイコフスキーを経済的に長年助けてきた夫人がいました。富豪(ふごう)のナジェジダ・フォン・メック夫人といいます。14年間援助が続きましたが、2人が会ったことは生涯一度もありませんでした。

最後の作品、「交響曲第6番悲愴」の本人による指揮(しき)での初演(しょえん:その曲が初めて公に演奏されること)の9日後に、チャイコフスキーは急死しました。


 
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​1840年5月7日生まれ
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バラキレフ   リムスキー=コルサコフ
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メック夫人
​組曲「くるみ割り人形」Op.71 より 花のワルツ
チャイコフスキーの最後のバレエ音楽。
クリスマス・イヴにくるみ割り人形をもらった少女クララが、
人形といっしょにおかしの国を旅する話。人形は実は、まほうをかけられた王子様。
第1幕で王子にまほうをかけたネズミたちと戦い、
たいじします。第2幕では、王子が、たすけてくれたお礼に、
クララをおかしの国にしょうたいします。「花のワルツ」は第2幕にあります。おかしの国を訪れたクララたちを住人たちが、
かんげいするおどりです。

 
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​くるみわり人形
​組曲「くるみ割り人形」Op.71より 金平糖の踊り
金平糖(こんぺいとう)の踊りも第2幕に登場します。
金平糖と日本語では訳されていますが、本来はくだものを
お砂糖でコーティングしたドラジェというおかしのこと。
第2幕では、チョコレート、コーヒー、お茶、トレパック
(あめ)、ミルリトン(タルト)など、おかしの精が登場
します。
​この曲で聞こえる美しい音はチェレスタというフランスで開発された楽器です。「くるみ割り人形」は1892年に完成していますが、チャイコフスキーがこの楽器を知ったのは1891年。だれも知らない音を最初に使おうとしました。

 
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​ドラジェ
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​チェレスタ
​白鳥の湖 Op.20 より 情景
チャイコフスキーの最初のバレエ音楽。白鳥の湖はドイツをぶたいにしたお話で、悪魔の魔法で白鳥にされた王女オデットと、
王子ジークフリートの物語。オデットは昼は白鳥、夜だけは人間のすがたになれます。オデットの魔法をとけるのは、だれにも愛をちかったことのないジークフリート王子だけ。オデットひめとそっくりなすがたで王子の前にあらわれた悪魔のむすめオディールに、
王子はけっこんをもうしこんでしまいます。わなにかけられたことを知った王子はいそいでオデットひめのいる湖にむかいます。オデットひめは王子を許しますが、2人は湖に身をなげます。2人の愛の力で悪魔はほろびます。
​有名なこの曲は、王子が白鳥が住む湖に狩りに行く場面で最初に流れます。3連符は悪魔をあらわしています。
​白鳥の湖 Op.20 より 四羽の白鳥のおどり
(小さな白鳥たちのおどり)
​白鳥たちの様々なおどりの中のひとつ。
バレエ「白鳥の湖」は、4幕にわけるパターンと、2幕を2つずつの場面に分けるパターンがあります。
4幕に分けた場合は、「四羽の白鳥」も「情景」で有名な曲も
第2幕に登場します。
​「四羽の白鳥」できこえるポッ・ポッという音は、ファゴットという木管楽器の音です。
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​ファゴット
ピアノ協奏曲 第1番 変ロ長調 Op.23
演奏:ウラディミール・ホロヴィッツ
​指揮:アルトゥーロ・トスカニーニ
NBC交響楽団
全てのピアノ協奏曲の中でもっとも有名な曲といってよい曲です。堂々とした序奏(イントロダクション)は印象的です。
ロシアで一番じょうずなピアニストだったモスクワ音楽院の院長(校長先生)に弾いてもらおうとしましたが、「価値がない、演奏不可能、全部書き直せ」と言われました。おこったチャイコフスキーは、全く書き直すことなくドイツ人のビューローというピアニストにがくふを送り、絶賛(ぜっさん)されます。アメリカの演奏旅行でビューローが演奏し大成功。
第1楽章と第2楽章にはチャイコフスキーの祖父の出身地ウクライナの民謡が使われています。
ちなみに、ビューローはリストのむすめと結婚(けっこん)しましたが、離婚(りこん)。ドイツの作曲家、J.S.バッハ、ベートーヴェン、ブラームスを「ドイツ3大B」と名付けたのはビューロー。
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
演奏:五嶋みどり
​指揮:クラウディオ・アバド
​ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
​ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスの3大ヴァイオリン協奏曲にチャイコフスキーのこの曲をくわえて、4大ヴァイオリン協奏曲といわれます。
当時のロシアで最も偉大(いだい)とされていた、サンクトペテルブルク音楽院教授のヴァイオリニストに演奏をたのみましたが、演奏不可能と拒否されました。けっきょくドイツの音楽院の先生となったブロツキーという人に演奏をたのみました。
​指揮者とオーケストラが準備不足で演奏はひどいものでした。作品に対する批評もひどいものでした。しかし、ブロツキーがたびたびこの曲を演奏して多くの人たちにきいてもらう内に、この曲の良さが理解されるようになりました。だれよりも早く、この作品の良さを理解し、世界中で演奏をしてくれたブロツキーにこの曲はささげられています。
弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48
指揮:小澤征爾
サイトウ・キネン・オーケストラ
​チャイコフスキーが40歳くらいの時の作品。尊敬していたモーツァルトのセレナーデ(アイネ・クライネ・ナハト・ムジークなど)を意識(いしき)し、弦楽器だけで作られました。
4つの楽章からできています。
第1楽章は「モーツァルトへのオマージュ」(オマージュ:敬意、たたえること)。第2楽章はワルツ。チャイコフスキーはワルツを書くのが得意です。第3楽章はエレジー。第4楽章は終曲。ロシア民謡が使われています。第1楽章は数年前に日本のコマーシャルで使われていました。
交響曲第6番「悲愴」ロ短調 Op.74
​指揮:アンドリス・ネルソンス
ゲヴァントハウス管弦楽団
チャイコフスキーの最後の交響曲。悲愴(ひそう:悲しく、
いたましい気持ち)と名付けたのはチャイコフスキー自身です。
1893年2月に書き始め、その年の10月には本人の指揮(しき)で初演(しょえん:はじめてえんそうされること)されています。そして、この9日後にチャイコフスキーは急死しています。
第1楽章にはクラリネットにpppppの強さ、ファゴットには
さらによわいppppppという強さを書いています。
交響曲第5番 ホ短調 Op.64
指揮:ヴァシリー・ペトレンコ
​オスロフィルハーモニー管弦楽団
すべての楽章に同じメロディーが使われていて、これは運命を表したものとされています。第1楽章の最初に重く暗い姿で登場したメロディーは、第4楽章では、かがやかしい姿になります。
この曲には、人を思いやる気持ち、誇り(ほこり)、勇気(ゆうき)、たおれても立ち直る強さがあります。
​交響曲第4番 へ短調 Op.36
指揮:グスタヴォ・ドゥダメル
​ロスアンジェルス・フィルハーモニック
​メック夫人に経済的(けいざいてき)えんじょを受けるようになり、作曲に集中できるようになりました。感謝の気持ちを表し、この曲をメック夫人にささげています。
​この曲の第4楽章には「しらかばのき」(不思議な音の国上巻にある曲)のメロディーが使われています。0:16,1:34,4:06あたりに聞こえます。
四季 Op.37a より 11月 トロイカ
演奏:セルゲイ・ラフマニノフ
月刊誌(げっかんし:毎月はっこうされるざっし)でれんさいされた作品で、12の月に1曲ずつ作られました。
季節の自然のめぐみや人々の生活をえがいたおもしろい作品。
​トロイカは11月。トロイカとは3頭の馬がひく馬車のこと。
こちらのピアニストであるラフマニノフは、大作曲家でもあります。たいへん美しい曲をたくさんのこしていて、ピアニストの大事なレパートリーのひとつとなっています。現代の多くのピアニストたちが、最も偉大(いだい)なピアニストは、ラフマニノフといっています。
眠れる森の美女 Op.66 より ワルツ
指揮:ユーリ・シモーノフ
NHK交響楽団
​「眠れる森の美女」は、シャルル・ペローの昔話。オーロラひめが100年のねむりについてしまうお話です。100年後、おしろにあらわれた王子により目をさまし、けっこんします。
そのストーリーをバレエ音楽にしました。このワルツは第1幕の村人のグランドワルツの音楽です。オーロラひめが登場するのはこのあとです。美しく成長したオーロラひめの16さいのたんじょうびに、4人の男性がけっこんのもうしこみに来ます。
そして、見知らぬおばあさんがわたした花たばの中にワナが仕掛けられていて、オーロラひめは100年のねむりにつきます。
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