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ジョルジュ・ビゼー
​(1838-1875 フランス)

 36年という短い生涯でしたが、オペラ「カルメン」で知られる作曲家。

 美容師から声楽教師になった父とピアニストの母との間に生まれました。

 早熟で、10歳にならないと入ることのできないパリ音楽院に9歳で入学を許されました。半年でソルフェージュで1番をとり、高名な音楽家からピアノ、オルガン、作曲を学びました。

 音楽院では、13歳のサン=サーンス(1835-1921)と出会い、かたい友情で結ばれました。

 ピアノもめきめき上達し1番をとるほどでしたが、ピアニストとしての道は選びませんでした。その才能を隠す(かくす)かのようにしていましたが、ある時にリストの前でリストの曲を初見で完璧に演奏して驚かせました。
 リストはこの難曲を演奏できる人間は2人しかいないと思っていたが3人いた。その最も若く、さらに、はなやかで大胆な演奏をするのがビゼーであると言っています。

 19歳でローマ賞を受賞し勉強のための奨学金をもらい、ローマで3年勉強しましたが、母親が病気のためパリにもどりました。

 奨学金が途絶(とだ)え、生活のために、オペラの作曲、作品の編曲、ピアノ教師、指揮など、音楽にかかわるあらゆる仕事をしました。

 作品はなかなか世の中に認められませんでしたが、34歳の時に作った付随音楽(演劇のための音楽)「アルルの女」が大成功をおさめます。

 これに勇気付けられオペラ「カルメン」の完成に全力を注ぎます。
 しかし初演は、聴衆の理解を得られず失敗。初演のちょうど3カ月後にビゼーは心臓発作のため突然この世を去りました。この日は結婚記念日でもありました。

 亡くなった2日後の葬儀(そうぎ)の日「カルメン」の特別上演が行われ、3カ月前とは人々は打って変わり、ビゼーは巨匠であるとほめ称(たた)え、初演から4カ月後に行われたウィーンの公演では大成功をおさめました。
 
​ 「カルメン」がフランスオペラ史上の傑作との評価を知ることなく、失望したままビゼーは亡くなったのです。今では「カルメン」は世界で1,2位をあらそうほどの人気のあるオペラです。
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1838年10月25日生まれ

カルメン 第1組曲 より 前奏曲
指揮:グスタヴォ・ドゥダメル
​パリ国立歌劇場管弦楽団

オペラの中から歌なしでオーケストラのみで演奏できるように組まれたもの。第1組曲、第2組曲とありますが、ビゼー自身によって組まれたものではないので、曲順や選ぶ曲は指揮者によって異(こと)なります。この前奏曲はオペラの第1幕が始まる時の音楽です。
カルメンはスペインを舞台にした物語です。タバコ工場で働くカルメンは魅力的なジプシーの女。彼女を好きになってしまった兵士ドン・ホセが人生を狂わされ、最後はカルメンを殺してしまうところで幕が閉じます。

​オペラ「カルメン」より ハバネラ「恋は野の鳥」
カルメン役:アグネス・バルツァ
ニューヨーク・メトロポリタンオペラ

​第1幕でカルメンが気のないそぶりの竜騎兵ドン・ホセにむかって誘惑(ゆうわく)する歌です。「わたしにホレたらご用心!」と歌います。第1幕ではケンカさわぎを起こしたカルメンが牢屋(ろうや)に送られることになりますが、誘惑されたドン・ホセがカルメンを逃がします。

​カルメン 第2組曲 より ジプシーの踊り
​指揮:佐渡裕 

第2幕の2曲目です。オペラでは「ジプシーの歌」となっています。組曲の方は声楽がないので「ジプシーの踊り」の曲名ですが、同じものです。
​次第にテンポが速くなり、カルメン全曲の中でも一番もりあがる曲です。

​オペラ「カルメン」より 闘牛士の歌

​第2幕で登場する花形闘牛士エスカミーリョの歌。兵士たちの乾杯(かんぱい)を喜んで受けよう、と歌います。
​第2幕ではカルメンを逃がした罪で牢屋(ろうや)に入れられていたホセが釈放(しゃくほう)され、カルメンに盗賊団(とうぞくだん)の仲間になるよう誘われます。盗賊をするジプシーにホセは入りますが、カルメンの心は闘牛士にすでにうつっていました。

​アルルの女 第2組曲 より メヌエット
​指揮:田代俊文
Orchestra Canvas Tokyo

​「アルルの女」という小説を舞台の演劇として上演するためにビゼーが音楽を付けました。
第1組曲はビゼーが編成しましたが、第2組曲はビゼーの死後に友人のギローが完成させました。
ハープの伴奏にのってフルートが美しく歌うこのメヌエットは、ビゼーの作品の中でもたいへん有名な曲です。
実はこの曲はアルルの女の中にはなく、ビゼーの「美しきパースのむすめ」という曲のなかにあるものです。

アルルの女 第2組曲 より ファランドール
​指揮:佐渡裕

この曲もビゼーの作品の中で人気のある曲です。
王の行進、馬のダンスという民謡をもとに作られています。
出だしの威厳(いげん)のある音楽からだんだんテンポが速くなり、最後は2つのメロディーが同時に聞こえ、高速でもりあがります。
​ファランドールとは南フランスの8分の6拍子のダンスの曲です。

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