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パブロ・デ・サラサーテ
(1844-1908 スペイン)
神童として早くから知られたヴァイオリニスト、スペイン国民楽派の作曲家。
8歳で初めてコンサートを行い、10歳の時にスペイン女王の前で演奏。
12歳でパリ音楽院に入学。13歳でヴァイオリン科で1等賞。
1860年頃からヴァイオリニストとして活動を始め、1865年には最初に仲良くなったサン=サーンスといっしょに演奏旅行をしました。
(サン=サーンスはサラサーテに、「序奏とロンド・カプリチオーソ」「ヴァイオリン協奏曲第3番」を献呈しています)
ヨーロッパから南北アメリカまで演奏旅行し、巨匠として名声を得ました。
サラサーテの演奏は、ナイチンゲールのように歌い、驚くほど澄んだ音ですばらしいテクニックを持っていたと言います。演奏する時の気取らなさと優雅な動きは観客の心をぐっとつかんだそうです。
作曲家としては、作品のほとんどはヴァイオリン曲で、スペインの民謡や踊りの曲を取り入れています。
気管支炎のため64歳で亡くなりました。
フランシスコ・タレガ
(1852-1909 スペイン)
スペインのギタリスト、作曲家。
20世紀のクラシックギターの基礎を作り、コンサートに適さないとされていたギターが独奏楽器として認められるきっかけを作った人物。
貧しい家庭に育ち、おさない頃に用水路に落ち、生死をさまよい失明しかけました。
目が不自由でも生計が立てられるようにとの父親の考えで、音楽学校に進みました。父親は35歳から盲目で、遺伝的にむすこもそうなる可能性があると考えてのことでした。
生活のために、レストランのピアニストの仕事をし、その仕事のあとは弟子たちを教え、夕方にはカフェでまたピアニストとして働き、深夜に自分のギターの練習をしていました。
ギターにハンカチをはさみ大きな音が出ないようにし、ねむけをはらうために冷たい水を入れたタライに両足を入れて練習を続けたそうです。
22歳でマドリード音楽院に入学。作曲、ギター、ヴァイオリン、ピアノで優秀な成績をおさめました。卒業後はギタリストとして活動し、それまでのギター演奏に見られない新しい奏法で観客から絶賛され「ギターのサラサーテ」と評判になりました。
同じスペインの作曲家アルベニス、グラナドスとも交流し、かれらの作品をギター用に編曲しました。そのほかにも、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパンの作品をギター用に編曲しています。
名声の絶頂(ぜっちょう:のぼりつめた頂点)で、右半身麻痺(まひ)になりましたが、死の直前までコンサートをやめることはしませんでした。
遺作(いさく:亡くなってから出版された作品)となる「祈り」という曲を作曲し、楽譜に日付を記した直後に気分が悪くなり、12日後に静かに息をひきとりました。57歳でした。
ホアキン・ロドリーゴ
(1901~1999 スペイン)
3歳の頃に病気で視力を失いました。
8歳でピアノとヴァイオリンを習い始めました。ギターの名曲を残していますが、本人はピアニストでギターは演奏しませんでした。
25歳の時にパリに留学し、作曲をデュカス(魔法使いの弟子という曲を作った人。ディズニーの映画でもこの曲が使われています)に学び、せんぱいにあたるファリャにも才能を認められました。ラヴェルとも親交がありました。
1939年にギターとオーケストラのための「アランフェス協奏曲」を作曲。翌年に初演され大成功をおさめ、これによりロドリーゴは世界的に知られるようになりました。
スペインに帰国し、スペイン総合大学の教授とし音楽史を教えました。世界各国への演奏旅行も続け、1973年には日本でピアノリサイタルをしています。
1999年、老衰のため97歳でマドリードで死去。
サラサーテ
1844年3月10日生まれ
タレガ
1852年11月21日生まれ
ロドリーゴ
1901年11月22日生まれ
サラサーテ ツィゴイネルワイゼン Op.20
ヴァイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ
ツィゴイネルワイゼンとは、ジプシー(ロマ)のメロディーという意味です。はなやかでドラマティックでありながら、哀愁(あいしゅう)がある技巧的な曲で、ヴァイオリンの曲としてはよく知られています。
サン=サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ
ヴァイオリン:三浦文彰
サラサーテといっしょに演奏旅行をしたサン=サーンスがサラサーテのために作った曲。スペイン出身のサラサーテのためにスペイン風の要素が取り入れられ、初演の時から人気のある曲で、現在でもサン=サーンスの曲の中で最も人気のある曲のひとつ。初演はサン=サーンス指揮、ヴァイオリンはサラサーテ。ビゼーによってピアノ伴奏版も作られました。ドビュッシーは2台ピアノに編曲をしました。
ロンドとは形式のひとつでA-B-A-C-AとAを何度もくりかえすものです。カプリチオーソは気まぐれにという意味の言葉。
タレガ アルハンブラの思い出
ギター:ゴラン・クリヴォカピッチ
数あるクラシックギターの曲の中で、最も有名な曲。
トレモロという何度も同じ音を鳴らす奏法が最初から最後まで続きます。音のつぶが繊細(せんさい)につむがれる様子は、アルハンブラ宮殿のふんすいをイメージしたと言われています。
タレガ ラグリマ(涙)
タレガは有名なメロディーが多い作曲家です。この曲も聞いたことがあるかもしれません。ラグリマとはスペイン語で涙(なみだ)の意味です。この曲はむすめの死に由来するそうで、1891年に演奏旅行から帰って来た時に、3日前にむすめが亡くなったことを妻からきかされました。
温かく優しさを感じる部分ともの悲しい中間部。むすめへの気持ちが伝わってきます。
アルベニス(タレガ編曲 ギター版)アストゥリアス
ギター:村治佳織
アルベニスのピアノ曲(前回のアルベニスで紹介しています)をタレガがギター用に編曲しました。ピアノよりギターで演奏される方が有名になりました。
ロドリーゴ アランフェス協奏曲 より 第2楽章
ギター:マルティン・ディッラ
ロドリーゴが世界的に知られるようになった曲。とりわけこの第2楽章は哀愁をたたえた美しいメロディーで広く知られています。ソナタや協奏曲はふつう第2楽章が一番短いのですが、この曲は第2楽章が一番長く作られています。
ロドリーゴはスペインの古都アランフェスがスペイン内戦で被害を受けたことから、スペインとアランフェスの平和への願いをこめて作曲したと言われています。第2楽章については、病で重体となった自分の妻や失った初めての子どもに対する神への祈りがこめられていると言われています。
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